私は自分自身もわが子の不登校・引きこもりに悩み、公立学校教員としても、それに悩む多くの家庭に接してきました。その中で右往左往した挙句、私がやっぱりこれだな…と明らかな手応えを感じ、回復していく子どもたちに【共通して】言えると思ったことがあります。それは、
親だけが、不登校や引きこもりの問題を【根本的に】解決できる
ということです。
私は「まずは素人考えであれこれやるよりも、とにかく病院やカウンセラーに診てもらって、専門家のアドバイスに従おう。」と思っていました。学校や家庭が良かれと思ってやることが、反対に本人たちを苦しめている事例を学校現場でいくつか見てきたからです。
まずは医師の診断を受け(と言っても世間話をするような簡単なものでしたが)、その後で心理士さんのカウンセリングを受けました。
「しばらく様子を見ましょう」
少し明るくなって前向きになったなと思ったり、あまり変化もない時もありました。またしばらくしてカウンセリングを受けにいく。言われたことをやってみて、よくなってきたと思っていたらまた元通りになったり…。また新たな問題が出てきて悪化したり…。こんな状態で特に大きく変化するわけでもなく、時間だけが過ぎていきました。私の頭の中は常に「これでいいのかな」「将来どうなるんだろう」と不安でいっぱい。
だから、親としても教員としても、苦し紛れに様々なことを学びました。専門的なことからちょっと怪しげな(笑)ことまで…。
ここで一つ、私が色々と学んだ中で最も共感した本をご紹介しますね。ずっと自分が感じていたことが明確に、しかも心理学的なエビデンスをもとに文章化されていていました。私は現在も、ここに書かれている内容を実践し続けていますので、このサイトでも多く参考にさせていただいています。
では私の経験や悩みながら得た知識から、なぜ本人ではなく、親こそが問題を根本的に解決できるのか? その理由を書いていきますね。
理由1 子どもたちが本当に自分を理解してほしいのは、他人ではなく親
専門家とのカウンセリングを受けるのは本人、しかも本人だけが良いと思っていました。その方が親に遠慮せず本音が言えるかなと。
でも長年この問題に接してきてわかったのは、はっきりと言いますが、不登校や引きこもりは
「幼少期に『自分はありのままの自分で良い』という安心感を得られなかったことが根本原因である」
ということです。母としてはとてもツラいことなのですが、残念ながらこれは間違いありません。
だから、得られなかった本人には、何ら問題がないのです。むしろ与えられなかった回りに問題がある。つ、つらいですが…。
だから、ここで必要なのは何ら問題がない本人への働きかけではなく、親への働きかけとなります。
不登校や引きこもりになる子どもたちは繊細で真面目であることが多く、親や周りの人の気持ちを優先するあまり、ありのままの自分を出せなくなりがちです。一方で親がわが子を愛するあまり、良かれと思って「こうすれば立派になり、幸せになる」と条件を付けて、繊細で真面目な子どもたちにハードルやプレッシャーを与え続ける。もちろん無意識に良かれと思って…。
私の場合は、常に先回りをして、「こうすれば上手くできるよ」「ここを気をつければいいんだよ」
こんなことばかり言っていました。
でも…
そんなことは自分で見つけていくことで、いちいち親が言うべきことではないんです。
自分が学校教員であるが故に、うまくやるコツを知ってしまっていて、それをご丁寧にわが子に伝えていたんですね。
失敗をしながら、それを繰り返しながら自分で掴んでいくその過程、それが一番大切なのに、親の私が見事に奪ってしまっていたんです。
幼少期の発達段階において、いつも親が先回りをして失敗させないようにすることで、「失敗してもいいんだ」「自分でできるんだ」という思いを感じさせることなく、『自分は自分で良い』という安心感を与えることができなかった。
ここが一番の問題点なんです。
こう考えると、必要なのは本人への働きかけではないんですね。
親が今からでも「何をやってもいいんだ」「失敗したって親が見ていてくれる」「自分は自分でいいんだ」と子どもが思えるような『子どもへの全肯定の愛』を与えることができるかどうか、親が変わることができるか、これににかかってきます。
子どもが何歳であろうが関係ありません。
理由2 親が「一番信頼できる大人」であったら最高!
幼少期の発達段階において十分に得られなかった『自分は自分で良い』という安心感。これはカウンセラーなどの専門家からも得られると思います。もちろん専門家ですから話を聞くことはプロであり、多くの経験から最適な方法を選んで話を聞いてもらえます。そして誰でも自分の話を共感して聞いてもらえることで安心し、信頼関係が生まれます。
しかし、ここで私が思うのは、
子どもたちが『本当に話を聞いてもらいたい、信頼したい、わかってほしい』と思っているのは、他人ではなく、間違いなく親である
ということです。
親の影響力は何よりも偉大です。生活を共にし、どんな距離感であれ親子関係は一生続くもの。その中で親こそが一番信頼できる大人であったら最高だと思うのです。
「わが家で起きたことだから、私たちが解決していく」
そう思えたら、回復までの道筋ははっきりと見えてきます。
理由3 親が変われば、必ず子どもが変わる
「愛情を持って一生懸命育ててきた。」
「本人の気持ちを尊重してきたつもりだし、無理強いをしないように気を付けてきた。」
これもいろいろなパターンの家庭を見てきた中で分かったことがあります。
それは、親が「人に迷惑をかけないように」という思いが強く、「大変な状況なのに、それに気付かないうちにがんばりすぎてしまう」「自分ががんばれば何とかなるという大変さを、普通だと思って生きている」ことが多いということです。そしてその感覚が、知らず知らずのうちに子どもに影響しているのです。無意識のうちに子どもたちに偏った(あえてこう言いますが、普通よりも程度が高いという意味です)価値観で接していて、誰かに指摘されるまで無自覚であることがほとんどです。言われて初めて、「そうだったかも…。」と思い返し、ある意味不自由で生きづらさを感じていたことに気付かれます。
だからこそ、まずは親自身が変わろうという意識をもつこと。
親自らが自分を解放し、「こうであらねば」という枠を取り外し、力を抜いて自分自身も大切なわが子も「ありのまま」に受け入れようとしていくことです。
長年の考えを変えていくのは大変なことであるのは間違いありません。でも、親が変われば、子どもは確実に変わります。
まとめ
「直したものはぶり返す、安らぎから治ったものはぶり返さない」
不登校・引きこもりからの脱出は、本人ではなく親がカギを握っています。
必要なのは、「正論」ではなく「安心」
親が常識や世間体などから解放されて、広い視野で明るく自由に生き、自分を無条件に認めてくれたなら、子どもたちに変化が起きないはずはありません。
途中で不安になることもありますが、「今、どのステップにいるのか」を知り現状の見直しをすること、様々な例を参考にすることで、自信を持って進むことができます。
このサイトでは、不登校・引きこもり脱出までのステップや対処法、それを実践してみた私自身の体験や見てきた具体例などを可能な限り書いていきます。親として「親が変わり、親の手で子どもに幸せな人生を歩ませたい」とお考えでしたら、必ず参考になると思います。
私は、わが子をこんな苦しみから一刻も早く解放してあげられなかった辛さや悔しさをきっかけに、必死でコーチングなどの勉強をして、現在はプロとして活動しています。
一人で悩まず、私のように少し前の経験者や、時を同じくして似た思いを抱える方々と共に、一緒に前に進んでいきましょう。
一人でも多くの子どもたちが、「生まれてきてよかった〜!」と思える素敵な人生を歩んでくれますように!
十数年も苦しんだ私の体験が、ほんの少しでも皆さんのお役に立ちますように!
心から願って発信していきます。